Last Updated on 2023年6月1日 by 村上志歩美
突然ですが、私たちは永遠の命をもっていると思いますか?
違いますよね。
命あるものは、いつか必ず死にます。
魂レベルで言うと、もしかしたら永遠に魂はあるのかもしれない…と私は思っているのですが、魂がその肉体にとどまっていられる時間には限りがあります。
人は母親からこの世に産み落とされた瞬間から、死に向かって生き始めますよね。
さらに言えば、受精した次の瞬間からいつでも死は訪れうるものです。
命を全うするのに限られた時間は人それぞれですし、命の期限が正確にわかる人なんて存在しません。
それでも、この世に生まれた生きとし生けるものすべてが、いつか終わりの瞬間(死)を迎えます。
あなたが病気を抱えて生きているのなら、もしかしたら死を意識したことがあるかもしれません。
健康面に大きな問題がなく過ごしていると、いつの間にか命は当たり前にあるものだと錯覚してしまいます。
ですが、がん看護に携わっていると必ず命の終焉のときに立ち会います。
看取りを経験する度、命は限りがあるからこそ尊いのだと思い知らされるのです。
命の大切さを患者さんから学ばせていただいているというのに、それでもたまに私は『命の終わりが想像できない』状態になることがあります。
おそらく自分が大病を患っていないから、他人事としてしか想像できないのでしょう。
命の大切さや時間に限りがあることを知ったら、有効に時間を使いたいと思う方もいるのではないでしょうか?
私も実はそう思っています。
自分が人生の終焉を迎えるときに、どこで、誰と、どのように過ごしたいか?も大切です。
そして、『自分の死後に大切な家族が揉めたり争ったりしてほしくない。』という気持ちもあります。
様々な看取りの場面に立ち会わせていただいたからこそ、終活の大切さを知りました。
今日は終活についてお伝えできたら…と思っています。
終活とは?
終活とは?
終活とは、人生の終わりに向けて、最後まで自分らしくいられるために、元気なうちに前向きに自分が死ぬまでのことと、自分が死んだ後のことを具体的に考え、希望を伝え、準備をすることです。
医療の現場では「アドバンスケアプランニング」という用語がありますが、厚生労働省では「人生会議」と表現してわかりやすく伝えています。
アドバンスケアプランニングについては、以前少しご紹介していたのでリンクを貼っておきます▼
ACPにおける看護師の役割|もしバナゲームで考えよう | しぽさんぽ (shiposanpo.com)
厚生労働省のホームページで令和4年度の「人生会議」普及・啓発動画が掲載されています。
こちらのショートムービーもわかりやすいので、気になる方は是非ご覧ください。
私たち医療従事者であれば、生死のやりとりを間近で見ていて『死』を感じやすいでしょう。
終活を意識する時期は人それぞれです。
もしくは、自分やご家族ががんなどの病気を患ったときかもしれません。
病気に関わらず、ご自身の老いを感じたときかもしれませんね。
テレビ番組で終活の特集をしていたときかもしれません。
『死』というものを自分事として受け止めたときに、初めて終活を意識する方も多いだろうと思います。
日本における終活の状況
Rakuten insightの『終活に関する調査』によると、終活をしたいという意向がある方は7割もいるというのに、実施している人は5.8%にとどまるそうです。
近いうちに終活を始める予定の人は9.1%、予定はないが時期が来たら始めたい人が56.9%。
終活をしたいと思っていても、実施している人が5.8%という現実を、あなたはどう思いますか?
終活しようと思う気持ちが素晴らしい
終活しようと思うだけで、実施していないなら意味がない
どう感じるかは人それぞれですよね。
終活するかどうかは個人が決めることであって、もちろん強要されることではありません。
ですが、もしかしたら『終活の始めどきがわからない』という人が多いのかもしれませんね。
終活を始めるタイミングっていつ?
終活を始めるのに適切なタイミングが定められているわけではありません。
終活をしようと思う本人が、してみようと思ったときから始めていいものです。
がん患者さんと関わってきて、終活をしていた患者さんの多くが、『がんと言われてから始めた』と言っていました。
なかには『親が亡くなったときに遺族で揉めたのをきっかけに、自分の終活のことは病気になる前から考えていた。』という患者さんもいました。
人それぞれ、終活はいつ始めてもいいですし、考えていたことが先々変わっても問題ありません。
その時々で気持ちが変わることはよくあることですから、一度決めたら後戻りできない…と覚悟を決めて取り組むものではないと思います。
終活を始めるきっかけとしては、圧倒的に大病を患ったことが多いだろうと予測できます。
具体的に終活を始めたり、関心を持つようになるきっかけはいくつかあるでしょう。
- 人生の節目(定年退職や還暦など)
- 病気の告知や余命宣告を受けたとき
- 身近な人が死別後に揉めたと聞いたとき
- 影響力のある人が発信していたとき(テレビやラジオなど)
結局のところ、終活を始めるタイミングはいつでもよく、気になると思ったときから行動してみるのがいいと思います。
なぜ終活が必要か?
がん看護をしていると看取りの場面に立ち会わせていただくことは多くあります。
看護師は、積極的治療を差し控える場面、療養場所の選定の場面、急変時の対応に関する話し合いの場面、様々な場面にも立ち会います。
患者さんご本人の意識がなくなって、意思決定を家族に委ねられたとき、家族間で考え方や意見が分かれることは結構あるものです。
しっかりと考えられる体力と気力があるときにご家族と十分に話し合えていないことが原因の場合が多いでしょう。
ご本人の価値観を大切にしたいものですが、明言されていないと受け手(ご家族)は判断に迷うことがあって当然です。
ご家族を看取った経験がある方はもしかすると、死別後にご遺族が揉めてしまったり、不仲になってしまったり…といったこともあるかもしれません。
母親が亡くなったあとに遺産相続で親戚と揉めに揉めたの。だから絶対私は死んだ後に家族に迷惑をかけたくなくて、身辺整理はきちんとしています。遺す家族に申し訳ないからね。
大切なご家族(患者さん)を失ったのは同じであっても、ご遺族それぞれ感じ方や立場は異なります。
1人の大切な命を失ったという現実をきっかけに、親族が不仲になることはとても悲しいことだと思います。
2009年から『終活』という言葉が広まったわけですが、なぜ私たちは終活が大事だと思ったり、終活をしたいと思うのでしょうか?
終活をする理由はいくつかあります。
いくつか理由はありますが、おおまかにご紹介しておきます。
- ご家族に迷惑をかけたくない
- 自分の人生の終焉に備えて、自分で準備しておきたい
- 自分が家族の死後に苦労した
- 病気や老後に備えておきたい
終活をするということは、『死』を想像することでもあります。
『死』というと私たちはネガティブな印象をもちやすいかと思います。
終活に関するネガティブな気持ち
終活をしておくと、自分のためにも家族のためにもなるだろうと思います。
私はもちろん終活は推進派なわけです。
ですが、無理矢理押しつけるつもりはまったくありません。
だって、自分が死ぬことや死んだ後の世界を想像することって怖かったり、不安だったり、寂しかったり…つらい気持ちと向き合う場合もあると思うからです。
そもそも終活の手順は義務教育で教わることでもなく、何が正解なのか、何から取りかかればいいのかわからないという方も多いでしょう。
終活をすることで、悲しい気持ちが強くなってしまう場合は避けた方がよいかもしれません。
終活をしてもつらくなるだけだという方、ネガティブなことを考えると病気も悪くなりそうだと感じてしまう方、終活をすることで前向きではいられなくなると思う方もいらっしゃいます。
終活をするポジティブな理由とネガティブな理由を考えた上で、終活をしておいた方が自分や家族にとってプラスになると思った方が取り組めたらいいと個人的には思っています。
終活を学ぶには?
私自身もがん看護をしてきた経験から、終活という言葉はよく聞いてきました。
ですが、実際に何をしたら終活をしたと言えるのでしょうか?
終活と言っても実際に考えることや実施することは多岐にわたります。
- 遺言書の作成
- エンディングノートの作成
- 医療に関する希望
- 葬儀、お墓の検討
- 遺産整理、葬儀代など
- 死亡後の連絡(誰に連絡をするか)
具体的な内容を考えるともっと細かく出てきます。
私も相続税のことや遺言書に関する知識はほとんどありませんでした。
そして患者さんもきっと同じでしょうから、手探りで終活を進められた方がほとんどでしょう。
7割の方が終活をしたいと思っていても、実際に取り組んでいる人は5.8%なのです。
おそらく、何から手をつけたらよいのかわからないのでしょう。
私も終活に関して患者さんにアドバイスをしたくてもできる自信がありませんでした。
ですから思い切って勉強をしてみることにしたのです。
私が学んでいるのは、『資格のキャリカレ』の終活ライフケアプランナーという講座です。
今後、終活に関する記事を少しずつご紹介できたらと思っています。
今回は初歩の初歩、といった内容にとどまりますが、パワーアップして皆さんにお伝えできるよう頑張ります(^^)
コメント