補完代替医療|高濃度ビタミンC点滴療法とは?

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補完代替療法
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村上志歩美

緩和ケア認定看護師の村上志歩美です。
看護師としては15年目になり、これまで13,000人を超える患者さんと関わってきました。
緩和ケアの世界でキャリアを積み、順風満帆に思えた看護師人生でしたが、流産を経験して初めて我が子を亡くす痛みを知りました。そして支えてくれた家族や友人の優しさがどんなに人の心を癒やすのかを知りました。
こんな私だからこそ大切な家族を失う人の気持ちがわかりますし、緩和ケアの素晴らしさが伝えられます!
私が持っている知識を余すことなく発信するため、本の執筆や看護学校での講師など精力的に活動中。
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Last Updated on 2023年12月1日 by 村上志歩美

がんの診断を受けたとき、がんの種類や病期、年齢やその他の基礎疾患などによっても治療法は変わってきます。

がんの三大治療として、手術療法、放射線療法、化学(薬物)療法については、よく知られていると思います。

転移が無くて早期であれば手術で切除ができたりしますよね。

私の母は胃がんでしたが、早期発見だったため手術で切除して、無事に術後6年目を迎えました。

がんの告知と同じように治療方針についても患者さんは気になりますよね。

「手術で切除しましょう」

「放射線治療をしましょう」

「放射線と化学療法を組み合わせた化学放射線療法をしましょう」

「術後に補助で化学療法をしましょう」

「積極的治療は厳しいでしょう」

何を言われるかわかりませんから、怖くて当然ですよね。

私は急性期病院に14年弱勤務してきて、健康診断で異常を認めた方が精密検査を受ける段階~終末期・看取りまでの看護に関わってきました。

「がんの疑いがある」と告げられた時点で、不安と緊張で張り詰めた精神状態の患者さんは多いものです。

告知に同席させていただくときも、患者さんやご家族によって様々な反応が見られました。

決して「見たから患者さんの気持ちがわかる」わけではありません。

その現実を突きつけられた患者さんやご家族にしか「当事者の気持ちはわからない」のです。

想像することと体験することはまったくの別物です。

医師から患者さんが「残念ながらもう使える抗がん剤がなくなりました」と伝えられる場面は多々あります。

患者さんの藁にもすがる思いというものは本当にあるんですよね。

「どうにか他に方法はありませんか?」

「まだ死ぬわけにはいかないんです」

「どうしても諦められないんです」

「お金はいくらでも払うから助けてください」

胸が苦しくなる患者さんの悲痛な訴えを何度も聞いてきましたが、標準治療が受けられなくなったら行き先は在宅かホスピスを考えられることが多いですよね。

私は急性期病院を退職して、現在はがん治療専門クリニックに週1~3日ほど勤めています。

がんセンターなどの抗がん治療を行う施設から治療の差し控えやホスピスへの移行を告げられた患者さんがセカンドオピニオンを受けにやってきます。

そして、諦めるしか無いと思っていた患者さんが、このがん治療専門クリニックで病状の進行を抑えたり、がんを縮小させた症例もあるようです。

私ががん治療専門クリニックに勤め始めて、改めて勉強しているのが、補完代替医療についてです。

補完代替医療って何?

がんの治療と言えば、手術、放射線療法、化学療法ですよね。

いわゆる民間療法といった治療だけに専念することはおすすめできません。

現代西洋医学と補完代替医療を併用した治療が統合医療と言われています。

補完代替医療は、現代西洋医学を補うもの+現代西洋医学にとって代わるものです。

民間療法だと思うとイメージしやすいでしょう。

サプリメントや健康食品、アーユルベーダ、鍼灸、漢方薬、アロマテラピー、瞑想などです。

厚生労働省ejimの冊子をリンクしておきますね。

https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/doc/pdf/cam_guide_3rd_20120220_forWeb.pdf

補完代替医療だけではなく、現代西洋医学と組み合わせることは勧められますが、補完代替医療だけに絞ることは危険だと言われています。

現代西洋医学と補完代替医療を併用するとしても、主治医への相談は必須になります。

高濃度ビタミンC点滴療法

ビタミンが体に必要な栄養素だということは、誰でもなんとなく知っていることかもしれません。

現在は研究が進んできており、高濃度ビタミンC点滴療法が、がんの治療に役立つことがわかってきました。

経口では無くて、点滴で投与することに限ります。

食べ物やサプリメントで摂取しても、汗や尿として排泄してしまう部分が多く、血中濃度を上げるには静脈内に点滴をすることが必要です。

がん患者さんの痛みや倦怠感、食欲低下、不眠などの症状を改善することが報告されているのです。

高濃度ビタミンC点滴療法単独、もしくは標準治療との併用でがんの進行を押さえたり、腫瘍を縮小した例もあるそうです。

化学療法の点滴終了後に続けてビタミンCを投与する場合もあります。

私たちは普通に生活していると体の中で活性酸素が発生してしまいます。

活性酸素はがんが発生する誘因にもなると言われていますよね。

高濃度ビタミンCは強い抗酸化力があるので、活性酸素を取り除くのに役立つと考えられています。

国産のビタミンC注射薬には防腐剤が含まれているため、輸入品を使用することになります。

ちなみにビタミンCは疲労回復やアンチエイジングの効果も期待されており、がんに関係なく使用される方もいらっしゃいますよね。

高濃度ビタミンC点滴療法の副作用といえば、血管痛が一番起こりやすいと思いますが、温罨法で軽減するケースがほとんどです。

補完代替医療は、その効果を断定できるほどのエビデンスが乏しいのも事実です。

情報が溢れる社会で、「一番優しい抗がん剤」として高濃度ビタミンC点滴療法を紹介するようなサイトは信じがたいと個人的には思っています。

あくまでも可能性に期待して高濃度ビタミンC点滴療法を受けるというスタンスでいるのがいいでしょう。

ただし、高濃度ビタミンC点滴療法が化学療法の効果の邪魔をしてしまう場合もあるそうなので、知識のある主治医に確認が必要です!

私は標準治療(現代西洋医学)を推奨したいので、補完代替医療に頼り切りになるのは避けて欲しいと思っています。

患者に希望を与える治療

「これ以上がんの治療ができません」と伝えられた患者さんは、その先何を希望に生きていけば良いのでしょう?

がん看護、緩和ケアに携わっていると積極的治療の差し控えの時期がきたときの患者さんに関わることは避けられません。

患者さん
患者さん

もう抗がん剤ができないって言われました。何か方法はないんですか?もう僕は死ぬのを待つしかないんですか?

患者さんの悲痛な胸中を聞くと、私たち看護師も苦しくなりますよね。

何かできることがないか?

考えても考えても、医師ができる治療がないと判断すればそこで積極的治療は終わります。

最期の療養場所を考えて、穏やかな時間がおくれるようにという目標に変わります。

そして私は今まで何人もの患者さんを在宅やホスピスに見送ってきました。

「本当はホスピスになんか行きたくない。ここで抗がん剤を受けたい!」と患者さんに泣きながら訴えられたこともあります。

私が今勤めているがん治療専門クリニックでは、化学療法ももちろん受けられます。

がんセンターでこれ以上の積極的治療ができないと言われた患者さんが藁にもすがる思いでたどり着くこともあります。

そして、1~2週間の命だろうと言われて車椅子生活だった患者さんが、半年先もご存命であり、自分の足で歩いて移動するまでに回復されている様子を目の当たりにしました。

患者さんにとっては、統合医療(現代西洋医学+補完代替医療)がマッチしたのでしょうし、それが生きる希望にも繋がったのだろうと思います。

患者さんのご遺族が「治療法がないと言われたのに最後に光(希望)を見せてもらえたことが患者としても家族としても非常に嬉しかった」という言葉を残していました。

がんになったからと言って、すべてを諦めているわけではありませんよね。

人間って希望を持って生きたい生き物です。

私は急性期病院に所属している間は、補完代替医療について知識がなくて患者さんの質問に答えられなかったことがあります。

絶対に補完代替医療もした方がいいとまでは思っていませんが、「もし他にも可能性があるなら…」と思っている患者さんには情報提供できる人は必要だなと思いました。

患者さんが知りたいと思うことを伝えられることは大事だと思います。

ただし、正しい情報を伝えられるようになりたいですよね。

高濃度ビタミンC点滴療法は、個人的に疲労回復を期待して私もいつか受けてみたいと思っています。

患者さんと関わりながら、血管痛と点滴中の頻尿くらいしか問題はなさそうだったので。

もしいつか私がビタミンC点滴療法を受けたらご報告したいと思います!

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